Amazonが買収したWhole Foodsとは

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Amazonが自然食品のWhole Foods Market(ホールフーズ、WFM)を137億ドル(約1兆5,200億円)で買収との速報が出ました。

newspicks.com

ECの巨人として君臨するAmazonですが、「Amazon Go」や「Amazon Books」など最近はリアルへの進出が目立ちます。今回はWFMについて調べてみました。

 

Whole Foods Market(WFM)とは

WFMはアメリカ、カナダ、イギリスの3カ国で約450店舗を展開する自然食品を販売するスーパーで「アメリカでもっともヘルシーな食料品店」を謳っています。1980年に19人のスタッフで創業し、1992年1月にNASDAQに上場をしています。

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現在は店舗だけでなく、instacartを使ったEC販売や、ネット注文をしてお店で受け取るなどのサービスを行なっています。

買収価格は妥当か

6月17日0時12分現在でyahoo financeをみるとWFMの時価総額は$13.422B。買収価格が137億ドルと報道されているので、プレミアムは2%ほどと非常に低いのがわかります。

 

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2017年5月に公開された「Shareholder Update」をみると

  • 2016年の売上は$15.7B(約1兆7,427億円)
  • 従業員8万7,000人
  • 店舗は3カ国464店
  • EBITDA$1.35B(約1,498億円)

買収価格は$13.7Bのため、EBITDAマルチプル10.1xです。ちなみにソフトバンクのARM買収の際のEBITDAマルチプルは50xのため、比較的リーズナブルに買収できると思われます。しかもEBITDAはCAGR14%という成長率ですので買収金額の回収はよりスムーズにおこなわれると思います。

Amazonの戦略は

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WHMのプレスリリースによると、Amazonは一株あたり$42で買収をします。上図は買収報道を受けて高騰していますが、報道前はおよそ$30台後半を推移していました。また、現CEOのJohn Mackeyは引き続きCEOを務めるとのことです。Amazon GoやAmazon Freshなどこれまで手がけてこなかった生鮮品、食料品に事業領域を広げているAmazonはWFMを買収することで食料品小売のノウハウを得たいのか、WFMの商品をAmazon上で取り扱うことでAmazonユーザーの満足度をさらに上げようとするのか現段階ではわかりません。しかしながら、ネット企業が成長を続けるとリアルに乗り出すという潮流がよくわかる事例だと思います。Amazonラブな筆者としては、便利になるのであれば大歓迎です。

LINE経済圏にどっぷり浸かってみたいと思います。

中国ではキャッシュレス生活が当たり前の記事を見て、多くのユーザーの方が日本国内でもキャッシュレス生活をしていることを見ました。主なものとしては、Apple Payですね。Suicaを持っている人はiPhoneで支払っているのではないでしょうか。PASMOユーザーかつiPhone6の私もキャッシュレス生活がCoolだと感じ早速始めます。主にLINEペイですけどね。使ってみて感想を今後ブログで挙げていきたいと思います。

 

ライフネット生命はヤバいのか。調べてみました。

先日、ライフネット生命の岩瀬社長によるfacebook投稿が色々議論を呼びました。

newspicks.com

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これまでの生命保険の加入が煩雑だったので、ネット生保が生まれた、といっても過言ではないにもかかわらず、「少しくらい手続きが面倒でも」にはビックリしました笑。岩瀬社長のお考えが良いか悪いかはここでは取り上げず、ライフネット生命の業績がヤバいのか、5月に発表された決算説明資料を通して見ていきたいと思います。

 

各指標は着実に増加している。

 事業会社では、売上高、売上総利益、営業利益などが登場しますが、生命保険会社の会計では、経常損益が主な指標となります。経常収益には①保険料収入、②資産運用収益があり、経常費用には①保険金・年金・給付金などの支払い、②責任準備金繰入金、③資産運用費用、④事業費、などがあります。

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さて、ライフネットの決算を見てみると、経常損益(保険業第113条繰延資産償却費考慮前経常損益)は減少していますが、2年連続で黒字です。生命保険は毎月(もしくは毎年)保険料が発生するので、新契約だけでなく保有契約件数も重要です。保有はYoY+6%と微増。ここで注意しないといけないのは、生命保険会計の場合、新契約をいただくと、顧客獲得単価など費用を初年度に計上しなくてはなりません。つまり1年目はキャッシュインはありながらもP/L上では、赤字になりやすいということです。新契約件数が伸びると費用が増え、利益を押し下げる、事業会社と違い、利益に反映されるのに時間がかかります。現状では新契約件数はちゃんと伸びているので良しとしましょう。

保険業法113条は下記引用を参照してください。事業会社でいうところのEBITDAみたいなものです。

(事業費等の償却)
第百十三条  保険会社は、当該保険会社の成立後の最初の五事業年度の事業費に係る金額その他内閣府令で定める金額を、貸借対照表の資産の部に計上することができる。この場合において、当該保険会社は、定款で定めるところにより、当該計上した金額を当該保険会社の成立後十年以内に償却しなければならない。

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 新契約件数が伸びている背景には、どうも広告費を相当かけたようです。決算短信を見ると、広告費はYoY+38.5%増です。わたしはあまりテレビを見ないので全く知りませんでした汗。

前期(2017年3月期)は、資本提携しているKDDI社との連携で「auの生命ほけん」を販売したり、 「earth music&ecology」などのアパレルブランドを展開する株式会社ストライプインターナショナルと提携し、ストライプ社がライフネット生命の女性向け保険商品「新じぶんへの保険レディース」を取り扱っています。残念なのは、ネット生保を謳っていながらやはり対面営業によって新契約件数が伸びているということです。やはり日本人はなんだかんだ言いながら、人に言われて保険に加入するのが多いようです。すこし話がそれますが、おもしろいことに、生命保険協会が出している、「生命保険の動向2016」によると、個人保険の新契約件数は1,988万件(前年比102.5%)、保有契約件数は、1億6,011万件(前年比105.5%)となんと増えていました。生命保険に入るのはもったいない、公的な保障で十分だ、という意見をネットで数多く見てきましたが、現実はまだ変わっていないようですね。

 

結局ライフネットは大丈夫なんでしょうか

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上の表に三利源が乗っています。営業のために広告費を多く使っているので費差損が出ているのは理解できます。重要なのは死差益が順調に増加していることです。各保険会社は保険数理人(アクチュアリー)を抱え、彼ら彼女らの計算のもと保険料を計算しています。この精度が上がってきていると思われ、これは今後の収益に大きく影響を及ぼします。また、支払い余力を示すソルベンシーマージン比率は2,723%と国内漢字生保をはるかに凌駕しています。結論として、私の考えでは、設立から期間が短く、保有件数(全体のパイが少ない中)新契約が増えると、費用が増加し、赤字が続くという減少に陥っているだけであり、年数が増え、保有件数が増えると、保険会計上利益が増えていくであろうと思われます。しかしながらこのビジネスモデルが持続可能だとは思いません。国内人口は確実に減っていき、生命保険に加入することは当たり前と考えている世代はどんどん少なっていきます。今後はInsurTechのスタートアップ企業をM&Aして、他の生保が今のモデルにあぐらをかいているうちに、独自の戦略を打ち立てるべきです。海外に市場を求めることも当然必要だと思います。岩瀬社長ぜひ頑張ってください。

 

※著者は以前、国内漢字系生命保険会社の総合職として勤務しており、その営業現場に愕然とし将来が見えなくなったので転職しました。

 

生保リーディングカンパニーのFinTech戦略(簡易版)

先日、下記記事で日本生保業界のInsurTechについて書きました。

multi-business.hatenablog.com

やはり文字に起こす(アウトプット)と思考が整理されます。これはどうなんだろう、あれはどうなっているんだろうと考えが湧いてきます。結構悲観的な内容になってしまったので 大手生保会社はどんなことを考えているんだろうと各社の戦略を見てみました。

日本生命 

■平成28年度上半期業績説明会資料[2.76MB]PDF

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やはり載っています。記事を見ると

感想、ふ〜ん。特に真新しいことは書いていないし、やる気も感じられない。コールセンター業務や引受・支払査定のAI活用に言及している点くらいしか評価出来ないな。

スタートアップのM&Aや、社内ベンチャーの推進くらい書いて欲しかった。ハッカソンの協賛てwww 

 

第一生命

■第一生命グループの経営戦略〔5,358KB〕

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アニュアルレポートに記載がありました。おっ、見出しに「InsTech」と記載があります。まとめると・・・

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明治安田や住友は見つからなかったので、また探してみます。

以上、簡潔に記載します。

中川政七商店の講演聞いて来ました

六本木のアカデミーヒルズで開催された、中川政七商店の13代代表取締役の中川政七氏の講演を聞いてきました。地方創生、ブランド力等、興味のあることばかりだったので、ブログにまとめます(ノートの書いたものをそのまま記載するだけなのでご容赦を)。

www.yu-nakagawa.co.jp

<ポイント>
  • 「物売り」ではなく、「ブランド作り」
  • 自社が繁栄するためにも、同業界の繁栄は必須。
  • 既存概念に付加価値をつけることで消費者の中でブランドを確立する。
  • ビジョンの重要性
以下、講演内容
中川政七商店は元々麻織りの会社で創業が1716年で創業300年
を超える。現中川政七氏は2002年に富士通退職後、実家である中川政七商店に入社。
 
当時は、工芸業にありがちな、管理体制が全く整っていない、ずさんな経営状態。生産在庫等の業務管理からスタート。赤字を減らし、なんとか経営ができる状態になってからは、「物売り」から「ブランド作り」にシフトを始める。「なんだかわからないけど良さそうなものだから買う」ではなく、「中川政七商店のものだから買う」というブランドとしての認知を広げようとする。
 
デザイナーでもない中川氏は、「ブランド力を上げるには直営店しかない」と2003年に表参道ヒルズに10店舗目を出店するまで、始めは儲からないが店舗が赤字な状態でも経営を続け、店舗数が増えることによる、スケールメリットを利用して黒字転換、ブランドの確立を果たす。
 
経営が安定して来た段階で、ビジョンを掲げる。ビジョンは、自らの事業と直接的に繋がるものではないといけない。3年ほどかけて「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げる。自ら掲げたビジョンに従うことで、自社の小売業を大きくするだけでなく同業界(工芸)のコンサルティングを始める。
 
コンサル業を始めることを認知してもらうために、表参道ヒルズ出店までに軌跡をまとめた本を出版し、書籍の中でコンサル業を始めることを記載。波佐見焼で有名な波佐見町からコンサルのオファーを受ける。
 
中川氏のコンサルのやり方は、決算書を良くすること。メディアでよく取り上げられる、そこそこ有名になり東京出店が決まった、だけのような状態では満足しない。決算書を良くすることで事業の継続可能性を示すことで後継者問題、地域活性化までを求める。赤字企業の原因は、まともな経営が出来ていないから。内部の経営管理はできるのでまずはそこから。売れるかどうかは相手がいる話なのでわからない。
 
2013年には東京KITTEに中川政七商店を出店。中川氏が2002年に入社してから、売上は4億円→47億円、店舗数は3店舗→49店舗に成長。
 
事業の方針は、「産地の一番星を作る」。組合からのオファーは受けない。一社にコンサルを行い。現地の一番の会社にするこで競争を起こし、結果として平均値が上がる。
 
しかし、産地の衰退スピードが非常に早い。工芸は、幾重の工程からなるサプライチェーンによって成り立っているため、生産の垂直統合が必要。そのためには、大きな投資が必要だがすぐには儲からないため、プラスアルファの付加価値として、「産業観光」を企画。生産工場を観光名所とすることで、工場建設以上の付加価値をつける。消費者には、製造現場を見てもらい、現地のストーリーを見てもらうことでブランドとしての認知を上げる。例:燕三条の包丁業界。「工芸+旅」。
 
工芸が一番評価されないのは、なぜか地元。その工芸があることが当たり前化しているため。そのために、「大日本市博覧会」を全国の産地で開催。今年は、10月12日〜15日に福井県鯖江市で開催される。
ビジョンの重要性。よく社内で、大坂城の石垣の話をする。「石を積んでいる」と答える班と、「日本一の城を作っている」と答える班では仕上がりの出来、スピードが全く違う。
 
中川氏曰く「伝統」は侮蔑言葉。衰退しているから「伝統」と言われる。普通にしていれば伝統と言われない。自動車産業は日本を代表する産業として長い間続いているが伝統とは言われない。
 
以上

 

 

 

日本のInsurTechの可能性

元生命保険会社総合職で現在ベンチャー投資に携わる者として、生命保険会社でイノベーションが起こることをいつも期待している。

保険×ITで「InsurTech(インシュアテック)」という言葉が少しずつ浸透して来ており、海外では下記のニュースも出てきている。

zuuonline.com

記事内では、生保、損保混合のランキングが書かれていて一位は米Oscarだ。

Oscarについては、GCPキャピタリストをされている湯浅エムレ氏の記事が詳しい。

www.emreyuasa.com

まず生保と損保だと、InsurTechは損保で発生しやすいように感じる。物を取り扱う損保ではIoTなどネットと繋がることが容易だからだ。一方、生保は人の生命に保険をかけているためネットと繋がることが難しいと考える。Oscarは医療保険を提供する会社だが、ただ保険商品を提供するだけでなく保険契約者の健康維持に積極的に携わることだ。契約者であれば、Oscarが提携するドクターにアクセスすることができる。つまり、保険商品だけでなく付加価値を提供することで差別化を図っている。

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生命保険会社は、主に死差益、利差益、費差益を利益の源泉としており、ゼロ金利時代の中、死差益が重要な要素となっている。契約者が健康であり続け、生命保険会社が保険金を支払わない状況になればそれがそのまま利益となる(現実には責任準備金の計上があるため一概には言えないが)。つまり、Oscarは、うちの保険に入れば健康になりますよ、と現在日本国内の生保営業と180度違うことをしている。世界との差は明らかだ。

一方、日本国内でInsurTechの第一人者と私が勝手に考えている増島先生の記事を見ると大企業だけでなくスタートアップ側にも問題があると指摘している。

japan.zdnet.com

これまで5年ほど、銀行・証券業界で日本にFinTechの流れを作り出すための支援をしてきた経験から言うと、日本のInsurTechにおける真の課題は、これを担うスタートアップ企業がなかなか出てこないことにある。その要因は大きく分けて2つある。

 第1は人材面の要因である。InsurTechに取り組むためには、データ収集や分析に関する深い知見を持つエンジニア人材と、保険業というビジネスに対する深い知見を持つビジネス人材の組み合わせが不可欠だ。人材の流動性の高いエンジニア人材は、自らのスキルを用いれば、非効率な保険ビジネスを大きく変えることができるのではないかと目論むことはできるが、保険実務を知らないので、それが絵空事なのかどうか、それを行うために必要な規制の変更が現実的なものなのかどうかを見積もることができない。

 これに対して、日本の保険領域のビジネス人材は、概して保守的な傾向が強い。証券業界の人材のように、機を見てスタートアップ市場に打って出るという人材を見出すことが難しい。独立するとしても、すぐに売り上げが立つ保険募集ビジネスまわりに集中してしまい、売り上げゼロの期間を経てスケールする基盤を作り出すスタートアップ型のビジネスモデルに手を出す人材は極めて少ない。人材のマッチングのむずかしさが、日本のInsurTechスタートアップの立ち上がりが鈍い理由の大きな原因を占めているのである。

 私の肌感覚では、生保社内では「営業現場が正義」みたいなところがあると思う。最も人材、資金が豊富な日本生命でもそうだ。管理部門に配属されたら、「あの人は営業が出来ない」みたいな風潮もある。そんな社内で「こうすれば営業部門を効率化出来る」

と言おうものなら営業職員、現場から非難轟々だ。ここにもまだ深い問題があると考える。現在の日本では、ライフネット生命がInsurTechみたいな感じに思える。一刻も早く生保業界を変えてくれるスタートアップの登場を待つばかりだ。

 

 

未来の可能性(AIについて)

GW初日ですが仕事のこと考えています。今後の投資先テーマについてです。ベンチャーズキャピタリストとして有望な投資先に投資をすることを仕事としていると今現在メディアに出てくるテーマではすでに遅いわけで、2、3年後に顕在化してくるものでないとダメなわけです(難しい・・・)。

 

しかしイノベーションは「今あるもの」同士を掛け合わせたものから成り立っていて、それほど悲観的になる必要もないのかなと考えています。

 

今ある本を読んでいて、AIとGoogleについての記載がありました。面白いので、引用します。

これから起業する1万社の事業計画を予想するのは簡単だ。それはただ、XにAI機能を付けるというものだ。オンラインの知能を加えることで良くなるものを、ただ探せばいいのだ。

全てのサービス、モノにAIを掛け合わせることで今後飛躍する業界が予測できるかもしれない。例えば、全ての行動、メール、SNSなどをスマホが認知しており、ユーザーの嗜好を把握していれば、私がある飲食店に入ったときにSiriがメニューを勝手に注文してくれるかもしれない。例:AI×吉野家

 

全く想像できないが、AI×コーヒー、AI×帽子etc(このブログを書いている場所を見渡して見ました)。ということは、常に周りの何気ない風景に目を配り、関係のない別のものと掛け合わしてみるという訓練が必要だろう。

 

最後に、同書にもう一つ引用する。15年前にAIの可能性に触れているラリー・ペイジの一コマ。

2002年頃に私はグーグルの社内パーティに出席していた。同社は新規株式公開をする前で、当時は検索だけに特化した小さな会社だった。そこでグーグルの聡明な創業者ラリー・ペイジと話した。「ラリー、いまだによく分からないんだ。検索サービスの会社は山ほどあるよね。無料のウェブ検索サービスだって?どうしてそんな気になったんだい?」私のこの想像力が欠如した質問こそが、予測することー特に未来に対してーがいかに難しいかを物語る確固たる証拠だ。(中略)ペイジの返事はいまでも忘れられない。「僕らが本当に作っているのは、AIなんだよ」と彼は答えたのだ。